介護と仕事、両立の道①

介護と仕事、両立の道①

【シャローシのお仕事】~シナプス社員ブログ~
シナプスイノベーションの社労士がお届けする、企業の人事・労務に関するお役立ちコラムです。

 

 

シナプスイノベーション大阪オフィスは、梅田のオフィス街にあります。

窓から見えるのは、ビル・ビル・ビル…を想像されるかと思いますが、20階にある休憩室の正面には高いビルがなく、晴れている日には生駒の山並みを見ることができるのです。

 

シナプスきっての本の虫と呼ばれているまふゆさんのお昼休憩は、生駒山を眺めながらの読書タイム。今日は珍しく雑誌を読んでいるようです。

 

「まふゆさん、お疲れ様。今日は小説じゃないんですね。
あら、介護特集?何かあったんですか?」

 

「私のことではないんですけれど、先日幼馴染と食事に行ったら、彼女のおばあ様の具合が悪いという話になったんです。
今は入院しているんですけれど、退院後は自宅で誰かがサポートする必要があるっていう話を聞いて。
介護なんてまだまだ他人事だと思っていて知識も全然ないので、励ますことしかできなかったんですが、この雑誌をたまたま見かけたので勉強しようと思って買いました。
……浅尾さん?」

 

「ごめんなさい。何かしてあげたいというまふゆさんの気持ちに感動してしまって、目から水が……。
介護は家族や個人で悩みを抱えてしまいがちですから、周りの人が話を聞いてあげるだけで気持ちが楽になると聞いたことがありますよ。
幼馴染さん、介護で忙しくなられると思いますけれど、時々お食事に誘ってあげてくださいね。
ところで、幼馴染さんはおばあ様と同居されているんですか?」

 

「同居ではないんですけれど、近くには住んでいるんです。
他の親戚は遠くに住んでいるので彼女の家族が頼りみたいで。
人が足りないときは彼女も平日に休みを取って手伝うって言ってました。
そういえば有休が足りないかもって悩んでいたんですけれど、本当に足りなくなってしまったらどうなるんですか?」

 

「『育児・介護休業法』という法律があるのですが、ご存知ですか?
家族の育児や介護を行う人が、仕事と家庭を両立できるよう支援することを目的として作られた法律です」

 

「詳しくはないですが、聞いたことはあります。
浅尾さん、ここでいう「家族」って、おばあ様は含まれるんですか?」

 

「早速いいところに気がつきましたね。
実は法律上明記されているのは配偶者、父母、子、配偶者の父母なのですが、施行規則によって「祖父母、兄弟姉妹、孫」を含めることとされています。
以前はこの「祖父母・兄弟姉妹・孫」には同居かつ扶養していることという条件が付いていたのですが、今年1月1日にこの条件が撤廃されました。
今回のケースは別居の祖母ですが、介護の対象となる家族に含まれることとなります。
ということで先ほどの質問に戻ると、有休が足りない場合、介護休暇を取得することができますよ」

 

「介護「休業」じゃなくって、介護「休暇」ですか? 初めて聞きました。
何が違うんですか?」

 

介護「休業」はある程度以上の期間にわたって、まとめて取得する休みをイメージしてください。最長で93日休業が可能で、3回までの分割取得も可能です。
一方の介護「休暇」は、通常通り就業しながら単発で取得するお休みをイメージしていただくといいですね」

 

「へぇ~。そんな制度があるんですね。
介護休暇は何日取ることができるんですか?」

 

「法律上は対象家族が1名の場合年5日、2名以上の場合は年10日まで取ることができます」

 

「以上ってことは、3名になると15日、4名は20日とは……」

 

「残念ながら、そうはなりません。2名以上は一律で10日までです。
幼馴染さんの場合、介護が必要なご家族はおばあ様だけでしょうか。
であれば、年に5日まで取得が可能です」

 

「介護が必要な家族はおばあ様1人だそうですから、1年に5日までということですね。
「1年に」というのは、1月1日からの1年間でカウントするんですか?」

 

「暦上の1年でカウントするとは限りません。
企業によっては、事業年度などに合わせて4月1日からとしていることもあると思います。
その場合は就業規則で1年の起算日を定めているはずですので、確認してもらってくださいね。
介護休暇は半日単位での取得も可能です。
おばあ様のサポートが必要な時間が限られているのであれば、半日ずつ有効に使うのも手ですね。
ちなみに、ここでの「半日」とは、所定労働時間の半分と定められています。
会社によっては有休(年次有給休暇)の半日取得で定めている時間数と異なる場合もあるでしょうね」

 

「ところで浅尾さん、有休を残しておいて、先に介護休暇を取ってもいいんでしょうか」

 

「それも可能ですよ。
但し、介護休暇に対して企業は給与の支払い義務を持ちませんので、多くの会社で無給とされています。
この場合、介護休暇を取得した日数分だけ給与が減額されることになります。
それぞれの事情にもよると思いますが、給与の減額を避けるという意味で有休を優先して取得する人も多いようです」

 

「ほかにも、彼女が使えそうな制度ってありますか?」

 

「そうですね。今回のケースなら、時短勤務や時間外労働の免除も、助かるのではないでしょうか。
わからないことがあれば、いつでも声をかけてくださいね」

 

「ありがとうございます。早速彼女に連絡します!」

 

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全労働者を対象とした育児休業法が施行されたのは1992年。その後1995年に育児・介護休業法に改められましたが、時代の流れは少子化対策優先で、育児との両立支援に対する手当が先に手厚くなっていきました。

 

同法施行前に出産した世代である現在の50~60代以上の女性は、妊娠したらその後の育児のために仕事を辞めるというケースがほとんどでした。同法が施行され、その後時代に合わせて改正を重ねてきた結果、現在は出産後の職場復帰率が非常に高くなっています。育児との両立に関しては、今までの取り組みが実を結んできたと言えるでしょう。

 

これから問題になるのは、介護です。

従来の介護は専業主婦である妻や娘、そして息子の妻が担うケースが多かったのですが、10年後に介護が必要となる世代の子世代は、現在30~40代。未婚率が高く、また、夫婦共働きが多い世代です。男女ともに、働きながら介護を担う人が増えてきます。すでに男性による介護の割合が徐々に増加しており、4割近くを男性が占めています(※)。

 

育児は準備期間があります。制度についてもしっかり理解して休業に入る方がほとんどでしょう。

一方で介護は、その多くが突然起こるものです。何ヶ月も前から準備をして介護を始める人はまれでしょう。制度を深く理解できないまま、仕事と介護の両立という現実に直面することになるのです。

 

いざというときに慌てないよう、自社がどのような支援制度を持っているのか、事前に把握しておくことをお薦めします。

 

※総務省統計局資料「平成23年社会生活基本調査」による。平成28年調査の結果はまだ公表されていません。

 

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