“中小企業の働き方改革” 専修大学 学生インタビュー

“中小企業の働き方改革” 専修大学 学生インタビュー

先日、専修大学経営学部・青木ゼミナールより、中小企業の働き方改革について研究されている学生さんが、弊社東京オフィスを訪問してくださいました。
きっかけは、各種メディアに掲載されていた弊社代表・藤本の記事を読み、FCSにおける女性の働き方に関心を持ってくださったことです。

専修大学・青木教授から弊社人財開発室にご連絡をいただき、働き方をテーマにしたインタビューをお受けしました。
テレワークにも関心があると事前にお伺いしていましたので、実際に体感していただこうと、東京と大阪をテレビ会議で接続。
東京で藤本と専修大学OB(以下OB)である社員がお迎えし、大阪からは人財開発室担当者と、来年度入社予定の内定者が参加しました。

熱心に研究されている学生さんからの質問は大変刺激的で、お答えした私たちも、現状に満足することなく進化し続ける会社でありたいという思いを新たにすることができました。

今回の記事では、そんなインタビューの内容をご紹介いたします。

中小企業こそ、働き方を魅力に

学生「私たちは中小企業における働き方について研究しています。
藤本さんはさまざまなメディアで、『中小企業だからこそ魅力のある会社にするべき』『そのためには働き方の改革が必要』とお話しになっていますが、この考えについて詳しくお聞かせください」

 

藤本「中小企業がいかに大企業と差別化を図るかを考えたとき、一番有効なのが、働き方を自社の魅力にすることだと思うのです。

たとえば学生さんからすると、中小企業というのは、就職活動をするときにあまり見ないところです。社会に存在する企業の8割が中小企業で、いい会社も多くあるのにね。
そこで重要になってくるのが、大企業とは異なる、中小企業ならではのよさを伝えることです。私は、働き方こそ中小企業の魅力になりうるのではないかと考えています」

 

学生「なぜ、働き方が魅力になるのですか」

 

藤本「大企業にはお金があるので、働き方以外のところを大きく変えることも可能ですが、中小企業がそれとそっくり同じことをするのは難しいでしょう。ですが働き方の改善は、比較的小さな投資から始めることができるうえに、少ない社員の力を最大限に発揮する必要のある中小企業にとってこそ、得られる成果が大きいのです。
多くの中小企業は、さまざまな面で大企業の真似をしています。これが、中小企業が魅力を失う原因です。

例えば一部の大手企業の真似をして、社員を減点方式で評価する中小企業があります。大量採用した中から精鋭を育てるような企業であればそれでもいいでしょうが、社員数の少ない中小企業では、社員の短所を批難するより長所を伸ばして、組織全体の力を底上げする方が合理的なのです。

他にも、縦割の組織作りでコミュニケーションを硬直化させたり、経営者と社員との距離を遠くしてしまったりといった、大企業の真似をやめる必要があります。柔軟な働き方を構築し、社員ひとりひとりの良さを活かすことができるのが、中小企業本来の強みですから」

 

OB「社長と社員との距離が近いというのも、中小企業らしい魅力ですよね」

 

在宅勤務制度で企業の力を高める

学生「ありがとうございます。働き方改善の取り組みのひとつとして、時短勤務や在宅勤務という制度をつくられたと思うのですが、これらのメリットをお聞かせください」

 

藤本「1つは、企業全体の生産性が高まるということです。

私の考え方の1つに、『自然体でこそ成果が出せる』というものがあります。
『嫌いなものを食べ続ける』より、『好きなものをお腹いっぱい食べる』方がうれしいですよね。『たくさんの時間働いて、たくさんのお金をもらう』よりも『できるだけ短い時間でたくさんのお金をもらう』方がいいですよね。
やりたくないことを無理やりすると、人間の生産性は落ちてしまいます。逆に、欲求、希望に寄り添う環境を整えると自然にやる気が出ます。時短勤務や在宅勤務など、本人にとって働きやすい制度を整えることで、社員の生産性を高め、業績をあげることができる。これはメリットだと考えます。

もう1つは、『働く場所が限られない』ということです。

例えば結婚をしていて、配偶者が転勤になると、それについて行かなければならないですよね。勤務地が限られているとそれに伴って退職しなければなりませんが、在宅勤務制度が整っていれば、引っ越した後も仕事が続けられます。本人にとってはもちろん、優秀な社員のやむを得ない退職が防げるという点で、企業にとっても大きなメリットです」

 

学生「それでは、デメリットはありますか?」

 

藤本「在宅勤務に関して言えば、働いた時間という指標以外で社員を評価する仕組みづくりが難しいことですね。勤務の様子や作業の合理性など、オフィスで働いていればすぐに見えるものを、在宅勤務者についても掴めるようにする必要性があります。この点に関しては正直未知で、難しいところです。

弊社全体の課題の1つに、評価と報酬が直接は連動していないことがあります。もちろん基本給は評価に応じて設定していますが、高い評価を受けたからといってそれがすぐに反映されるわけではありません。

今後3年の間には、すべての社員の評価と報酬を連動させたいと考えているので、そのために、在宅勤務者についても仕事の様子が見えるような工夫をして、成果をより評価できるようにしたいですね。

世間には、『会社に管理されると評価が下がる、給料が下がる』と考える人が多いように感じるんですが、そうじゃないと私は思っています。仕事を評価するのは悪い部分を直し、良い部分はさらに伸ばすためです。結果的に、評価は上がっていくはずですから、報酬と連動させれば、社員にはもっと豊かでいてもらえるようになります。社員自身の働き方とは少し離れますが、経営者として、そうしたことも考えています」

 

学生「なるほど。ちなみに、オフィスで働いている社員と在宅制度を利用している社員とは、異なる仕事をしているのですか」

 

藤本「ある程度は異なっています。離れていても指示の出しやすいものを在宅勤務者に任せていることが多いです。一緒に相談したり、話し合ったりしながら進める仕事は少し難しいので現状あまり割り当てていませんが、できないことはないですね」

 

学生「在宅勤務制度を、IT業界以外の会社でも取り入れることは可能でしょうか」

 

藤本「必ず決まった場所でしかできない仕事でない限りは、何にでも取り入れられると思いますよ」

 

学生「時短勤務制度や在宅勤務制度を導入して、見合った費用効果はありましたか」

 

藤本「厳密な計算はしていませんが、あると思っています。実際に社員が出産や育児を理由に退職しなくなったということも、効果の表れではないでしょうか」

 

コミュニケーションを工夫して、さらに働きやすい環境づくり

学生「この会議室にはテレビ通話システムがありますが、在宅勤務者とのコミュニケーションにはこれを利用しているんですか」

 

藤本「常設のテレビ通話システムではありませんが、Web会議システムとカメラを利用して、できるだけ顔を見てコミュニケーションしています」

 

学生「それではこのテレビは、どういった活用をされているのですか」

 

藤本「東京と大阪のオフィスを連携するのに利用しています。大きなプロジェクトになると、東西の社員が協力して仕事をすることもあるのですが、テレビを利用することでリアルタイムにやりとりができ、スムーズに進めることができています」

 

学生「テレビを使うと電話だけではわからない相手の表情が見えたり、複数の人で直接話し合えたりするのがいいですね!」

 

藤本「そうですね。リアルタイムに職場の雰囲気がわかり、コミュニケーションがとりやすいです。在宅勤務者とのWeb会議も同じで、働く場所が違っても気持ちは離れずに済んでいます。

ただ離れた場所とのコミュニケーションについては、まだまだ改善の余地があります。特に在宅勤務者は、業務自体の悩みだけでなく人とあまり接することのできない寂しさも感じていると思うので、それを埋められたらと考えています」

 

学生「妊娠・育児中の方でしたら、子どもがいる人たち同士で悩み相談などのコミュニケーションをとる場があるといいと思うのですが」

 

藤本「ママ社員のネットワークでしたら、ありますよ。これから産休に入る女性社員と育休から職場復帰してきた女性社員を、SNSなどを利用して繋いで、いろいろと相談できるようにしています。

具体的な例としては、保育所の情報共有があります。
育児休暇が終わった社員は、在宅勤務かオフィス勤務かを選ぶのですが、たいていの社員は出社を選ぶんです。自分の時間が欲しいから、仕事が楽しいからということもあるのでしょうか。うちの社員はなんとか会社に出ようとする人が多いです。

すると問題になってくるのが保育所探しです。預かりどころが見つからなかったり、見つかったとしても育休からの復帰時期と預かり時期とのずれが生じたりします。そこで、社員同士で保育所の情報を共有して、問題を解決しています。
保育所の問題は、育児中の社員にとってはとても重要です。保育所が特に不足している東京で勤務していた夫婦を、本人たちの希望に沿って、2人一緒に大阪に転勤させたこともありました」

 

ひとりひとりと向き合い長所を活かす

学生「これまでのお話を伺い、女性の活用に重点を置いていらっしゃると感じたのですが、女性の労働価値はどこにありますか」

 

藤本「正直、女性だからというものはないです。人はそれぞれに違う価値を持っていますが、性別でひとくくりにするような差異は特にありません。あえて言うなら肉体労働の点ですが、女性よりも繊細な男性もいれば、男性よりも勇ましい女性もいます。
女性しか経験できないこととしては出産がありますが、そこで生じるビジネス上のロスも埋める手立ては十分にあり、大きな差は感じていません」

 

学生「確かに、私たちのゼミでも女性が強いですね(笑)
ところでこの部屋に、小さなポスターのようなものが貼られているのが気になっていたのですが、これは何ですか?」

 

藤本「これは会議の進め方についてイラストでまとめたものです。会議は必ず目的を決めてから始めるとか、だらだらと進めず時間を区切るとかいったことを描いています。弊社の考え方を社員同士はもちろん、来社される取引先の方とも共有することが目的です。
実はこのイラスト、障害を持つ社員が作成したのです。

現在、障害者を雇用している企業の多くは大規模なメーカーです。工場などでの単純作業が多いと聞いています。一方で、中小企業での雇用は進んできませんでした。そもそも規模が小さいので、障害のある方1人分の仕事を作り出すことが難しいと考えられていたのです。
FCSでは障害のある方にどのような仕事を用意できるか、社員全員を巻き込んで考えました。ITは一見専門性の高い業界ですが、実はその仕事のうちの何パーセントかは、知識や経験のない人でもできる仕事です。これをまず、障害のある方に任せました。

さらに、ひとりひとりの個性を活かせる仕事も考えています。例えばこのポスターを描いた社員は絵がとても上手で、名刺に載せる似顔絵や社内外向けの冊子の表紙などもどんどん描いてもらっています。最近では、文章力があることや英語に興味があることもわかりました。そういった長所を仕事に活かすことが重要だと考えています」

 

学生「ひとりひとりに向き合って、働き方を構築するのが良いということですね」

 

藤本「そうです。それぞれに合った制度を整え、長所を活かす。どんな立場の社員であれ同じことだと思います」

 

学生「今、多くの中小企業が人手不足の問題を抱えています。人材確保が難しいからこそ、1人の社員にできるだけ長く働いてもらうことが重要だと思うのですが、そういった点も考えて働き方改善に取り組んでおられるのでしょうか」

 

藤本「もちろんそうですね。あらゆる社員が長く働ける制度づくりが大切です」

 

新しい制度づくりのために

学生「今、私たちは中小企業で働く女性に向けて、『子連れ出勤』『育児休暇中の業務を手伝ってくれた方に社内通貨を渡す』という制度を考えています。こういった制度について、藤本さんのご意見を伺いたいです」

 

藤本「どちらも十分に実現可能なものだと思います。ただし、導入コストに見合った成果が上がるか、一度導入したあと定着させるにはどうしたらいいかなど、さまざまなシミュレーションをして、ブラッシュアップすることが必要です」

 

学生「考えることがいろいろとあるのですね。学生の立場から新しい制度を作ろうとすると、曖昧なことばかりで難しいのですが、FCSさんが新しい制度を考えるときや、お客様にシステムを提案する際には、なにかコツがあるのですか」

 

OB「具体的なメリット・デメリットを推測すること、それをアウトプットして足りないものを補いつつ具体化していくことですね。

どんな人たちがそれを利用し、どんなメリットがもたらされるのか、実現を阻む問題点は何かということをシナリオとして提示します。ただ頭の中で考えるだけで形がないと、どういうところに穴があるか見えにくいので、もやもやとした構想を一度アウトプットし、それを改善していくのも有効だと思います」

 

学生「ありがとうございます。
インタビューは以上です。このたびは貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました」

インタビューを終えて 専修大学学生さんからのコメント

Oさん
人と人とが近い中小企業の良さや、育児や介護、障害などそれぞれが置かれている状況に適した働き方について聞き、働くということに新たな視点を持つことができました。

Kさん
中小企業が大企業と自社を差別化するために「働き方」や「人」という部分を重視するという視点は自分では思いつかないもので、新鮮でした。

Tさん
インタビューを通して、経営者と社員の近さに驚かされました。会社に対するイメージが変わり、刺激となりました。

Nさん
新しい働き方づくりが中小企業にとって人材を惹きつける1つの方法であることを再確認でき、今後ひとりひとりにあった働き方が増えていくのではないかと希望が持てました。

Mさん
実際に中小企業の現状、中小だからこそ取り組んでいかなければならないことについて、たくさんお話を伺えて良かったです。

女性活躍推進メディア「Woo!」掲載

2016.05.02
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